妊活を始めたころ、どこかで「自然にできるはず」と思っていました。
ネットで検索し、タイミングを測りながらも、
心のどこかでは「そのうちきっと」と楽観的な気持ちを持っていました。
でも、今振り返れば、
それは「本当の意味で自分の体を理解していなかった」という
現実の裏返しでした。
排卵のタイミングも、自分の周期も、なんとなくしかわかっていなくて、
妊活が夫婦にとってどれほど大切で、繊細で、知識が必要なものか。
当時の私は、正直わかっていませんでした。
病院さがし
実家の近くという選択。
そんな私が病院に通うことを決めたのは、
年齢のこともあり、そろそろ…と感じたタイミングでした。
幸い、私は母親にすべてを打ち明けていたので、
何かあったときに頼れるよう、実家に近い病院を選びました。
通った病院は、小さいの頃からよく利用していた
最寄駅の近くにあるクリニック。
自分が育ってきた場所にもう一度戻るような、不思議な感覚もありました。
夫の検査結果と、体外受精という現実
通院を始めて検査を受けると、
夫が乏精子症(男性不妊)であることがわかりました。
その結果を受けて、
医師から伝えられたのは
「年齢的に、すぐにでも体外受精を進めます。始めましょう」
という言葉でした。
最初から体外受精を提案されるなんて、
正直想像もしていなかった私は、
驚きました。
「私たちは、自然に授かれないんだ」
その事実が、突然目の前に突きつけられたような感覚でした。
一緒に始めたのに、ひとりみたい。。
治療を始めるにあたって、
戸籍謄本を取りに行き、必要な書類に夫婦で同意しながら、
少しずつ前に進みました。
最初は、「一緒に頑張ろう」という気持ちで
スタートできていたと思います。
でも、治療が進むにつれ、病院に通うのは私だけになっていきました。
薬を飲み、注射を打たれ、スケジュールに縛られ、
身体も心も私の中でだけどんどん変わっていく。
最初の注射を打たれた日、私は思いました。
ああ、これはもう“妊活”じゃない、“治療”なんだと。
今も、どこかで思っている。
「自然にできたら」と。
不妊治療の経験を重ねてきた今でも、
どこかで「自然に授かれたらよかったのに」と
思ってしまうことがあります。
出産時のアクシデントにも実は関係があります。
でも、私たち夫婦がここまでチャレンジしてきた過程が、
確かに「難しい現実」を教えてくれていました。
傷ついたり、迷ったりしながらも、ここまで歩んできたこと。
それは確かに、私の人生にとって意味のある道だったと、今は思えます。
同じように迷う誰かへ
もし、これを読んでいるあなたが
「病院に行くかどうか」を迷っていたり、
「体外受精なんて無理」と感じていたりするなら。
その気持ち、とてもよくわかります。
でも、どんな方法であれ、
大切なのは「あなた自身が納得できるかどうか」だと思います。
私もまだ道の途中ですが、
あの日、一歩踏み出したことに、
子どもを目の前に 少しだけ感謝しています。
